法定後見Q&A

01. はじめに

よくある質問をQ&Aにしてみました。相談者の方のなかには、Q&Aを参考にして、点と点がつながって、制度の理解に役立ったという方もいらっしゃいます。是非、参考にしてください。 以下、援助が必要な人を「本人」、手続きを進めようとする人を「申立人」、成年後見人や保佐人、補助人などになろうとする人を「候補者」、また、特定しない限り、成年後見人並びに保佐人、補助人を総称して「成年後見人等」、第三者(弁護士・司法書士・社会福祉士)を「専門家」という言葉を用います。

02. 基本的事項についてのQ&A

Q.01申立てとはなんですか?
判断能力の不十分な人に成年後見人等を付けるかどうか決めるのは家事審判官(裁判官)です。 申立てとは申立人が家事審判官に決めてもらうために家庭裁判所の窓口に必要な書類を揃えて申込みすることです。
Q.02どこの家庭裁判所の申立てをするのですか?
本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
Q.03身体が不自由なのですが後見制度を利用できるのでしょうか?
法定後見制度は精神上の障害などにより、判断能力が不十分になった方を保護する制度です。従って身体の不自由を理由に制度を利用することはできません。この場合は信頼できる人との間で公正証書などによる財産管理契約を締結したり、地域の社会福祉協議会の福祉サービスを利用したりする事を検討するのが良いでしょう。
Q.04後見開始の申立ては誰ができるのでしょうか?
一般的には本人、配偶者、四親等内の親族です。
Q.05後見人などが選任されるまでの期間はどの程度かかるのでしょうか?
書類を完璧に整え申立てし、鑑定作業が不要とされた前提となりますが、最短で1か月半程度です。家庭裁判所が鑑定作業を必要と判断しますと、最低でもそのための期間として2週間以上を要するため選任されるまでの期間が長くなるでしょう。尚、保佐開始申立ての場合の場合は必ず鑑定作業が必要となります。
Q.06申立てにかかる費用は、どの程度かかり誰が負担するのでしょうか?
ご自分で手続きした場合には概ね下記のとおりです。
手続き 費用
1.医師による診断書作成 3千円〜1万円程度
2.戸籍謄本や住民票の取得
戸籍謄本1通 750円
住民票1通 200円〜400円
3.鑑定費用(後見・保佐の場合) 5万円〜10万円
4.印紙代
後見・保佐申立 3,400円
保佐申立+代理権付与 4,200円
補助申立+同意権付与 4,200円
補助申立+同意権・代理権付与  5,000円
5.郵便切手
後見申立 3,200円
補助・保佐申立  4,100円
手続き費用については、申立人が負担するのが原則となっていますが、上記、3.から5.について、ご本人(援助が必要な人)の負担とする申立てをすることができます。
Q.07申立ての費用は誰が負担するのですか?
家事審判に対する手続き費用は各自負担(申立人)が原則です。但し、成年後見申立手続きを行うことは、本人の保護、利益になることから、申立手数料、後見登記費用、送達・送付費用並びに鑑定費用については、申立時に本人負担とする旨を申立書記載し、認められた場合には、本人の負担とすることができます。
Q.08手続きを弁護士に委任した場合や書類の作成を司法書士に依頼した場合の費用は誰が負担するのですか?
原則、申立人の負担となります。但し、例外を認められる場合もあるようですので、正式に後見人が就任したのち、後見人や家庭裁判所に相談してみるのが良いでしょう。
Q.09後見人の代理権について教えてください
本人に代わって、本人のために施設の入所契約や不動産の売買を行う権限のことです。具体的には例を挙げますと後見人は本人の所有する不動産を本人に代わって売却する事ができます。
Q.10同意権・取消権について教えてください。
被保佐人が自分の不動産を売却するときに、保佐人が、この取引を了承するのが同意権で、保佐人の同意なしに行った不動産の売買を初めからなかったことにするのが取消権です。同意のない行為を取消せず、後から了承することを追認といいます。
Q.11成年後見が開始されるとどうなるのですか?
成年後見人に広範な代理権が与えられます。成年後見人は本人のために預貯金や不動産の管理をしたり、保険金や年金などを受領したり、本人に代わり施設との間の契約をしたり、本人が行った契約などを取消したりすることができるようになります。但し、本人の居住用不動産の処分については、別途、家庭裁判所の許可が必要となります。

なお、遺言や身分行為(結婚・離婚・養子縁組・認知)などは、代理権の対象にはなりません。
一方、成年後見が開始されると、本人は印鑑登録が抹消されるほか、医師、弁護士、税理などの資格や会社役員の地位を失うなど、権利を制限されることになります。
Q.12成年後見人はどのような事をするのですか?
本人の意思を尊重し、心身の状態や生活の状況などを考え、代理権を使い本人を援助します。職務内容は、本人の生活や医療面で必要な手続や支援を行う「身上監護」と「財産管理」です。具体的には、身上監護は、施設の入所契約や介護サービスに関する契約などを行う事です。尚、実際の食事の世話や介護行為などは後見人の仕事にはなりません。財産管理には特に厳格性が求められており、次のような仕事をします。

成年後見人に選任された段階で、本人の財産や収入を調査し、その結果を家庭裁判所に提出します。 本人の収支を計算して収支計画を立案します。 本人の財産を管理し、その状況を記録し定期的に家庭裁判所に報告をします。
Q.13保佐が開始されるとどうなるのですか?
保佐が開始されると、本人は、日用品の購入など日常生活に関する行為を除き、重要な財産行為(不動産の契約・自動車の売買・自宅の増改築・金銭の貸し借り)について、自分一人ではできなくなります。本人の援助者として「保佐人」が選任され、重要な財産行為には保佐人の同意が必要となります。本人が保佐人の同意を得ずに行った行為は取り消すことができます。
また、本人の同意を得て家庭裁判所が定められた特定の事項については、保佐人に代理権が付与されます。
Q.14保佐人はどのような事をするのですか?
本人の意思を尊重し、心身の状態や生活の状況などを考え、同意権や代理権を使い本人を援助します。具体的には次のような仕事をします。
保佐人の同意が必要な行為について、本人に適切な同意をします。
保佐人の同意を得ずに本人が行った本人に不利益な契約などを取り消します。
保佐人に代理権が与えられている場合には、代理権行使の内容について定期的に裁判所に報告をします。
Q.15補助が開始されるとどうなるのですか?
補助が開始されると、本人の援助者として「補助人」が選任されますが、後見開始や保佐開始のように、本人の行為が自動的に制限されることはありません。しかし、本人の同意を得て家庭裁判所が定められた一定の事項については、本人は、その行為を単独で行うことはできなくなり、補助人の同意が必要となります。また、本人の同意を得て家庭裁判所が定められた特定の事項については、補助人に代理権が付与されます。
Q.16補助人はどのような事をするのですか?
本人の意思を尊重し、心身の状態や生活の状況などを考え、同意権や代理権を使い本人を援助します。具体的には次のような仕事をします。
一定の同意権が与えられている場合、本人に適切な同意をし、補助人の同意を得ずに本人が行った本人に不利益な契約などを取り消します。
補助人に代理権が与えられている場合には、代理権行使の内容について定期的に裁判所に報告をします。
Q.17申立てにはどのような書類を準備するのでしょうか?
各家庭裁判所により若干の違いはありますが、概ね次のとおりです。
東京家庭裁判所の例です。尚、公的書類は発行後3か月以内のものが必要となります。
Q.18誰を成年後見人等候補者にすればよいですか?
本人の家族である必要はありませんが、成年後見人等の職務や責任について理解している人が候補者になるでしょう。また、あまり高齢な方は候補者に適さないでしょう。
家庭裁判所は、本人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、候補者の職業・経歴、候補者と本人の利害関係の有無、本人の意向などを踏まえ総合的な判断をするため、候補者が必ず選任されるとは限りません。本人の資産が多額な場合や親族間で医療看護や財産管理に意見の食い違いがある場合には、弁護士、司法書士、社会福祉士といった専門家が後見人や後見監督人に選任されることがあります。
Q.19成年後見人等に資格はあるのでしょうか?
次に該当する人は成年後見人等になることができません。
  • 未成年者
    家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人または補助人
  • 破産者
    被後見人に対して訴訟をし、またはした者並びにその配偶者及び直系血族
  • 行方の知れないもの
Q.20本人の状態が後見、保佐、補助の何に該当するかわからないのですが?
まず、かかりつけの医師に家庭裁判所で使用する診断書の作成を依頼するのが良いでしょう。診断書の中にどの類型に相当するかという「判断能力についての意見」という項目があります。取りあえずは、チェックの入った類型で申立てをすることになるでしょう。
Q.21申立てに使用する診断書はどのようなものを使用するのですか?
家庭裁判所で定形の診断書が用意されています。管轄する家庭裁判所によって若干のフォームの違いがありますので、ホームページからや郵送で申立て書類一式と取り寄せするのが良いでしょう。
Q.22診断書の作成は誰に依頼するのですか?
本来であればメンタルヘルス(精神科)専門医に依頼するのが望ましいですが、実際は、本人のかかりつけの医師に作成してもらうケースが多数です。
Q.23申立時に添付する本人の財産や収支に関する資料とはどのようなものでしょうか?
以下のようなものをわかる範囲で添付します。
  • 預貯通帳、証書などのコピー
  • 株式の取引残高証明書などのコピー
  • 生命保険などの保険証書のコピー
  • 負債の残高や返済期間などがわかる書類のコピー
  • 年金通知書などのコピー
  • 施設や病院の費用の明細のコピー
  • 健康保険料、介護保険料のコピー
  • 不動産登記事項証明書
  • 固定資産納税通知書のコピー
  • 地代、家賃などがわかるコピー
  • 遺産などがある場合には、遺産目録などの資料
  • 愛の手帳のコピー
尚、申立時では、親族とはいえ、本人の情報を開示してくれない金融機関などもあるので、わかる範囲全てのものを添付します。
Q.24家庭裁判所の面談ではどのようなことを聞かれるのでしょうか?
申立時に添付した資料に基づいて申立てに至る事情、本人の生活状況、財産状況や今後の医療看護の方針、後見人候補者の経歴や経済状況、親族の意向などを聞かれます。
Q.25親族照会とはどのような手続きですか?
家庭裁判所が判断をするための参考として本人の親族に書面などにより、意見を聞く手続きです。特殊なケースを除き、申立時に全ての推定相続人の方の同意書が添付されると省略される場合もあるようです。
Q.26同意書とはどのような書面ですか?
申立時に本人に後見法定後見(後見・保佐・補助)が開始されること、候補者が(後見人・保佐人・補助人)となることを了承する旨が記載された書面です。推定法定相続人全員からもらうことが好ましいですが、もらえないことを理由に手続きが進まないということはありませんので可能な限り添付できれば良いでしょう。
Q.27鑑定とはどのような手続きですか?
診断書とは別に本人の判断能力の程度を医学的に判定する手続きです。原則、後見・保佐の審判にあたって必要な手続きです。後見については、鑑定を省略するケースもあります。
Q.28鑑定費用はどの程度かかりますか?
概ね金5万円から金10万円程度のようです。診断書を作成してくれた医師が鑑定を引き受けてくれる場合には、診断書付票にその場合の鑑定料を記載してくれるでしょう。
Q.29本人調査とはどのような手続きですか?
本人の意思を尊重するため、家庭裁判所の担当者が直接本人に意見を聞く手続きです。本人が家庭裁判所に行くか、家庭裁判所の担当者が訪問して行います。本人調査を省略するケースもあります。
Q.30専門家が成年後見人等に選任される場合があると聞きましたがどのようなケースですか?
家庭裁判所の裁量による部分ですので明確にはお答えできませんが、本人に多額の資産があったり、親族間で医療看護や財産管理の方針に意見の相違があったりする場合、本人に対し多額の立替金があり親族が返金を求めている場合に専門家を成年後見人等に選任する場合があります。また、親族の方が後見人に就任された場合でも、専門家がその仕事を監督する役目の成年後見等監督人として選任されることがあります。
Q.31親族では成年後見人等は務まらないでしょうか?
そんなことはありません。後見事務では預貯金や収入・支出の管理などがありますが、例えば国民年金はA銀行に厚生年金はB銀行、施設の引き落としはC銀行などですと通常の通帳管理だけでも3冊になってしまいます。多額の資産のある方はペイオフにも注意する必要がありますが、入金や支払をA銀行に集約してしまい、口座引き落としとできるものは、可能な限り口座引き落としとします。そして通帳の記帳の後、通帳に鉛筆書きでなんの様な費用だったかを記入して、請求書や領収書は別途で保管しておきます。そうすれば、ほぼA銀行の通帳のみで管理することが可能です。なるべく現金を取り扱わないようにして、日々の必要なもののみを現金で保管し出納帳を作れば、一般の方でも十分に務まるでしょう。
Q.32親族が後見人に選任されることは難しいのでしょうか?
個人的意見となりますが、申立時に不足なく書類を整え、親族間に争いがない場合には比較的、親族の方が後見人に選任されるケースが多いと思います。但し、後見制度支援信託が検討される場合などは、当初、もう一名専門家が後見人として選任されることになるでしょう。また、ご本人の財産の規模にもよりますが、不動産の処分や相続による後見人と利益が相反する遺産分割が必要な場合には、親族の方が後見人に、専門家が後見監督人に選任されるというケースが増えてきているようです。
Q.33後見監督人とは何をする人ですか?
後見人に関する後見監督は原則、家庭裁判所がおこないますが、事案によっては家庭裁判所が選んだ後見監督人に後見人を監督してもらう場合もあります。後見監督人の基本的な仕事は後見人の事務を監督することです。また、後見人と本人との利益が相反する場合などに本人を代理します。
Q.34後見監督人はどのような人が選任されるのですか?
専門家が選任されることになるでしょう。
Q.35なぜ、親族のことに第三者である専門家が関与するのですか?
制度発足当初は、親族の方が成年後見人等に就任されるケースが圧倒的に多かったのですが、成年後見人等の地位を利用しての不正が後を絶たず、本人の生活まで破綻させてしまうケースもあり、家庭裁判所としてもこれを見過ごす訳にはいかず、近年は何らかのかたちで当初に専門家を関与させるケースが増えてきています。
Q.36専門家はどの程度の期間関与するのですか?
これは難しい質問ですが、例えば、当初、専門家が関与したほうが良いと家庭裁判所が判断した事案が解決し、以降は専門家が、専門家の関与は必要ないと考え辞任許可の申立てをすることがあります。その場合には家庭裁判所が辞任を許可するか判断し、許可されますと専門家は辞任します。簡単なことではありませんが、親族後見人の方は当初、専門家が関与しても、専門家が「もう必要ないでしょう」と思うくらいしっかり後見事務を行うのが良いでしょう。
Q.37専門家が関与するとお金がかかるのではないですか?
専門家が後見人や後見監督人に選任された場合には、報酬が発生します。これは、本人の利益保護のためですので、家庭裁判所は利益を受ける本人の財産の中から報酬を与えることができます。報酬の額は東京家庭裁判所後見センターのホームページ中、「成年後見人等の報酬のめやす」が参考になります。
Q.38本人の親族全員が専門家の関与に反対しているのですが家庭裁判所は親族の意向を聞いてくれるのでしょうか?
家庭裁判所は後見人や後見監督人に誰を選ぶのが一番本人のためになるかという考え方で人選をしますので、合理的な理由を欠くご親族の意向はあまり反映されなしでしょう。
Q.39親族が後見人になった場合は無報酬なのでしょか?
親族の方が後見人に就任された場合でも家庭裁判所が認めた金額を本人の財産から報酬として受け取ることができます。報酬を受け取るには報酬付与の審判の申立てをします。報酬は一定期間を経過した後に報酬付与の申立てをする後払い性質のものとなります。報酬の前払いはできませんので、この点は注意が必要です。
Q.40本人は東京の施設に入所しており、親族は皆遠方に住んでいます。後見人をお願いすることはできるのでしょうか?
お客様のご依頼により、当事務所所属の司法書士が後見人候補者として親族の方に申立てをしていただき、選任されれば、成年後見人等に就任することが可能です。但し、事務所の方針として、最低限月1回以上、本人を訪問することになっており、交通費の無駄を考えて、入所されております病院や施設が、あまりにも遠方な場合や、その時点で就任させて頂いている人数によっては、ご期待に添えない場合もありますが、まずはご相談ください。
Q.41複数の後見人が選任される場合があると聞きましたがどのような場合でしょうか?
親族の方一人では負担が大きいので複数の親族で事務を分担したいと場合などは、家庭裁判所で認められれば、親族の方2名が選任されたりする場合もあります。また、親族の方と専門家が選任されたりすることもあり、親族後見人が身上監護、専門家後見人が財産管理などを担当し、事務を分掌する場合などもあります。
Q.42後見制度支援信託とはどのような制度なのですか?
後見開始事件などで利用される制度です。例えば、本人に金5,000万円程の預貯金があったとします。その内、普段使わないであろう金4,700万円を信託銀行に信託(信頼して預け)し、手元に残った金300万円が減らないよう、ご本人の月々の収支で不足する部分があるいときは、その不足部分に相当する金額を信託銀行からの一定の間隔で自動的に送金してもらうなどする制度です。申立て当初に利用を検討が検討される場合と途中で遺産分割や保険金の受領などでまとまったお金が入ったりしたときに利用が検討される場合があります。家庭裁判所が後見制度支援信託の利用が良いと判断した場合には、専門家が後見人に選任され、信託銀行と信託契約の手続きをします。その後、専門家は辞任して本人の通帳や信託証書などを親族後見人に引き渡します。
Q.43思っていたより大変な制度なので申立てを取下げたいのですが?
後見開始等の申立て及び成年後見人等選任の申立ては、家庭裁判所の許可がなければ取下げすることはできません。後見人の人選や、後見監督人が選任されるなど、後見制度支援信託の利用を理由とした取下げは認められない可能性が高いでしょう。
Q.44後見開始の申立てをしたのですが鑑定の結果、保佐相当とされました。申立てをやり直す必要があるのでしょうか?
家庭裁判所より申立ての趣旨を変更するよう求められるでしょう。
Q.45保佐開始申立てや補助開始申立てでどのような場合に本人の同意が必要なのでしょうか?
まず、補助開始の審判そのものに本人の同意が必要となります。保佐人や補助人に特定の代理権を与える場合や補助人に特定行為の同意権を与える場合にも本人の同意が必要になります。通常、申立て面談時に本人を同行して、調査官と面談し同意の有無を確認 するケースが多いようですが、本人が、家庭裁判所に来ることができない場合には、家庭裁判所の調査官が本人のもとへ行き同意の有無を確認することになるでしょう。
Q.46毎年の定期報告に自信がないのですが?
本人の資産状況にもよりますが、まず、最初は大変ですが、口座振替の行うことのできる収入、支出を1箇所の金融機関に集中させます。注意する必要があるのが口座振替の手続きをしても直ぐに他の金融機関の通帳を解約せず、目的の通帳から引き落としがあったことを確認してから解約を行います。これらを行うことにより、現金以外の収支は、ほぼ通帳で管理することができます。現金については出納帳で管理を行います。預貯金が多額な場合には、ペイオフにも配慮し、他の金融機関で総合口座を開設し定期預金のみとすると各通帳、現金出納帳を集計することにより後見事務が軽減されるでしょう。賃料収入などがある方を除けばやり方を間違いなければ、十分にやっていけるでしょう。

03. 成年後見人等に選任された後のQ&A

Q.01後見人である証明はどうやってするのでしょうか?
後見登記事項証明書(後見登記事項証明書のサンプル)で証明します。後見等が開始されると、その種類、本人の住所、氏名、本籍、生年月日や成年後見人等の住所、氏名、生年月日や審判の確定日などが、東京法務局で登記されます。この証明書を取得して金融機関や市(区)役所、年金事務所などに提示の上、成年後見人等である証明をします。まれに、相手方から審判書謄本と確定証明書の提示を求められることがあります。確定証明書は家庭裁判所に交付の申請をします。
Q.02後見人選任後の最初の仕事を教えてください。
本人の財産の内容を把握します。申立ての時には、本人の親族とはいえ、金融機関などは預貯金の照会には応じてくれないでしょう。取得した後見登記事項証明書を持参すれば、正式に本人の成年後見人という証明ができますので、金融機関なども情報を開示してくれるので早急に財産や収入・支出などを調査し、予算計画を立案して期限までに家庭裁判所に財産目録と年間収支予定表を提出します。
また、金融機関や年金事務所、市(区)役所には成年後見人等の届けをして、なるべく郵便物を後見人宛に送ってもらうようします。就任1か月ほどはかなり忙しくなるでしょう。
Q.03家計簿などをつける必要はあるのでしょうか?
現金の取扱いについては、出納帳を作成する必要があります。なるべく、銀行への振込みや引き落としを利用して、現金の取扱いを少なくした方が、成年後見人等の出納帳記帳の負担が軽くなるでしょう。A4用紙の表面に1か月分の出納帳を作成し、裏には重ならないように領収書等を貼って、報告時には、両面をコピーして家庭裁判所に提出するのが良いでしょう。
Q.04本人の財産から支出できるものを教えてください。
基本的には、本人、本人が扶養義務を負っている配偶者や未成年の子の生活費などや、介護サービス、病院や施設の費用、税金、社会保障費、本人名義の住宅ローンの返済などです。後見人の仕事をする上で発生する交通費や通信費なども本人の財産から出費することができます。
Q.05本人の孫の入学祝いや冠婚葬祭費、交際費などは本人の財産から支出する事は認められないのでしょうか?
本人の財産状況にもよりますが、社会通念上妥当な金額であれば支出できるでしょう。但し、金額や時期については、事前に家庭裁判所に相談しておいた方が良いでしょう。
Q.06本人の病状からして自宅に戻ることが難しいので空き家となっている自宅を処分したいのですが、別に許可などが必要なのでしょうか?
自宅の処分は、本人に与える影響が大きいことから、別途、家庭裁判所から「被後見人の居住用不動産処分の許可」が必要となります。居住用不動産とは、現在、本人が住んでいる場所に加え、病院や施設に入る前に居住していた不動産なども含まれます。売却だけでなく、自宅を他人に貸す場合や自宅として借りていた家の契約を解除する場合も許可が必要となりますので注意が必要です。
Q.07本人と同居して医療介護をしています。収支状況の報告はどのように行えばいいでしょうか?
在宅で成年後見人が同居して本人の医療介護に努めているかたの収支状況ですが、例えば食費・水道光熱費のようにどちらの負担として良いか悩まれるケースもあるかと思います。あくまで当事務所の経験上でのお話しとなってしまいますが、まず、成年後見人、成年被後見人の支出中、例えば成年被後見人の車椅子のレンタル料金など間違いなく本人の負担に分類できるものは本人の負担とします。それらを除いた後、どちらの負担とすることも出来ないような費用について合計し、成年後見人と成年被後見人の収入の按分で月々、固定の費用を成年被後見人の負担とするなどの手法が考えられます。但し、この手法を取る場合には一度、成年後見人、成年被後見人の収入と支出を精査する必要があり、それらを根拠として事前に管轄の家庭裁判所に相談の上、進めるのが良いでしょう。
Q.08父の成年後見人をしていますが母が亡くなりました。相続に関して手続きが必要でしょうか?
この場合に遺産分割を行うとするとは本人(父)と後見人等とはどちらか一方が利益になると、どちらかが損をする利益が相反するという関係になります。この場合、後見人等は本人を代理することはできず、家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをして、選任された特別代理人がこの遺産分割協議での本人を代理することになります。尚、遺産分割協議にあたっては、他に合理的理由がない場合は最低限、法定相続分の確保は必要となるでしょう。
Q.09転勤で海外に赴任することになりました。後見人等を辞任することは可能ですか?
後見人等は家庭裁判所から認められ選任されているので勝手に辞任することはできません。後見人等は正当な事由がある場合にのみ家庭裁判所の許可を得て辞任することかできます。ご質問の場合には正当な事由に該当すると思われますので辞任許可の申立てと同時に後任の後見人選任の申立てをすることになります。他に正当な事由としては、病気などを理由とする場合があるでしょう。後見人を辞任した後、2か月以内に管理していた財産の収支計算をして家庭裁判所に報告し、且つ、管理していた財産を後任の成年後見人等に引き継ぎをします。
Q.10本人が死亡しました後見人は何をするのでしょうか?
本人の死亡は後見の終了事由です。後見人は本人の戸籍・除籍謄本などを添付して家庭裁判所に報告し、東京法務局に成年等終了の登記をします。任務終了後2か月以内に管理していた財産の収支計算をして家庭裁判所に報告し、且つ、管理していた財産を本人の相続人に引き渡します。
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